看護師は、友人知人から紹介された医療機関へ転職することも珍しくありません。
友人から同じ病院で働かないかと誘われました。事前に何を確認しておくといいかしら。
知人の紹介で病院に転職するときのデメリットや注意点を教えてください。
きっと、そんな疑問や悩みがありますよね。
知人の紹介だと安心感がある反面、知人や紹介先の医療機関に配慮する気遣いも大事になってきます。
そこで本記事では、看護師が知人の紹介で医療機関に転職する方法を解説!
ご覧になると以下のことが理解できます。
- 紹介者に確認しておくべきポイント6つ
- 知人から紹介してもらうメリットとデメリット
- 私が知人からの紹介で転職した体験談
- 知人からの紹介が向いている人・向かない人
- 知人からの紹介の断り方
- 知人の紹介で転職するときの注意点
この記事の内容を押させておけば、知人や医療機関に迷惑をかけることなく、あなたにとって有意義な転職を果たせることでしょう。
- リハビリ専門の病院で常勤3年
- 訪問看護を日勤常勤で1年
- 福祉用具専門相談員として就業中
実際に知人の紹介で転職を決めた私(@Shion6766)が体験したことも交えお伝えします。
看護師が知人の紹介で転職するパターン
ここでは、知人の紹介で転職するパターンをご紹介します。
知人があなたに紹介する時の状況には以下の2タイプがあります。
- 自分から知人に紹介を依頼する
- 人手不足のため知人があなたに紹介する
このあと、それぞれ解説します。
自分から知人に紹介を依頼する
転職を考えている時に、自分から知人に紹介を依頼することが考えられます。
交流のある友人看護師なら相談もしやすいよね。
看護師の中には看護学校時代の友人や以前の職場の同僚との繋がりを保っている人が多くいます。
それらの友人知人に紹介を依頼して転職するパターンです。
人手不足のため知人があなたに紹介する
看護師は全体的に不足しています。
人材確保ができていないために看護師の負担も増えてしまっています。
その結果、患者に対してのケアも十分に出来ないという状況に陥っているのです。(参考:看護職の労働環境 日本看護協会HP)
ですから病院としては看護師(特に夜勤ができる看護師)が喉から手が出るほど欲しいのです。
医療機関や看護師の知人も負担を減らしたいでしょうから、あなたが来てくれることを望んでいます。
紹介者に確認しておくべきポイント6選
紹介してもらう時には、その職場の情報を収集する必要があります。
ここでは情報収集する際に紹介者に確認しておきたい、以下6つのポイントを取り上げます。
- 給料や福利厚生
- 有給休暇
- 残業の有無
- 職場の人間関係
- 配属される可能性がある部署
- 面接や内定後の辞退について
このあと、それぞれ解説します。
給料や福利厚生
転職するにあたって給料は一番気になる点。
働く上でのモチベーションにもなりますからね。
給料を尋ねる際には月給がいくらかという尋ね方はしない方が良いです。
相手が答える月給が諸手当などの福利厚生を含めた金額の場合があるから。
基本給や手当などを聞ける範囲で聞いておいてください。
なぜなら、ボーナスは基本給の○ヶ月分という計算をするので、基本給が低いと年収ベースだと希望のお給料をいただけないことも考えられるからです。
あと、お子さんがいる場合は、保育所の有無の確認は必ずしておいてくださいね。
有給休暇
有給休暇のことを聞くのは忘れがちですが、確認しておきましょう。
私の場合、有給休暇は形としてあったのですが、なかなか消化できずに残ってしまうことがありました。
忙しくて使うことができなかったからです。
法令順守を徹底している職場なら、強制的に有給休暇を取らせているはずです。
そこまでないなら、職場のシステムとして、有休を使っていない人への対策をどのように講じているかまで確認できると安心です。
当たり前に有給休暇を取れていないのなら、その他にも法令上の不備があるブラック職場の可能性があるので、しっかり確認してください。
残業の有無
残業の有無や程度を確認しておきましょう。
家庭の事情で残業できない人や自分の時間が欲しい場合は、残業の有無は最優先で確認すべき。
看護師一人に対する仕事の負担が多いと、残業は当たり前になってしまいます。
私も、休日で看護師が少ない日や重度の患者を受け持った日などには残業ばかりでした。
緊急入院の際にも残業は確定だったので気持ちがブルーになった経験があります。
職場の人間関係
あなたが仕事を辞めた理由が職場の人間関係なら、知人に詳しく職場の様子を聞いてください。
人間関係が悪いと仕事への影響も出てくるからです。
私の周りにもお局様との人間関係が上手くいかずに退職したという看護師もいます。
職場内のことに関して、具体的には以下のことを確認しておきましょう。
- どの年代の看護師が多いか
- どんなお局様がいるか
- 看護師長の人柄
- 助け合いの精神があるか
- 事情があり定時で帰る人へ向けられる目はどうか
なお職場に男性看護師がいると、女性だけの職場より過ごしやすい場合があるので、その点も確認すると良いですよ。
関連記事 男性看護師は「やめとけ」と言われる理由5選と3つのメリットを解説
配属される可能性がある部署
あなたが配属される可能性がある部署を確認しておくことは重要です。
看護師といってもそれぞれに得意な分野や専門の分野があるからです。
分野によって主な看護ケアも変わってきます。
適切な部署を選ばないと自分に合わなかったという理由で辞める結果となります。
後でお話ししますが、私も転職先の分野が自分に合わなかったために辞めた一人です。
面接や内定後の辞退について
面接や内定後でも辞退は可能なのかも確認しておきましょう。
面接を受けたけれどイメージしていたのと違ったという場合もあるからです。
面接や内定後には断りづらいですが、前もって確認しておくと気が楽ですよ。
知人からの転職先紹介のメリット
知人から転職先を紹介してもらうことにはメリットとデメリットがあります。
ここではそのメリットについて解説します。
病院の内部情報を把握できる
知人を介さず直接応募する場合、職場の雰囲気や人間関係については把握しにくいでしょう。
しかし知人の紹介なら実際の病院内の情報を収集することができます。
実際にその職場で働いているからこそ分かる情報があるから。
医療従事者間の連携状況、看護師間の人間関係、病棟の雰囲気など。
内部情報のマイナスな面も聞いておくといいかもしれませんね。
私も実際に知人に職場のマイナス面も聞いていました。
マイナス面を聞いておくことで心の準備もできますよ。
信頼されやすいため内定を得やすい
病院側からすると新たに知らない人を受け入れるよりも職員が紹介してくる人の方が信頼できるから。
その知人が職場に信頼されているならなおさらのことです。
私も転職の際に「職員からの紹介だから信頼できる」という理由で面接を受けることができました。
また、職員の紹介ですから、転職後に職場のスタッフと早期に打ち解けやすくなるのもメリットです。
提示した条件に柔軟に対応してくれる
知人からの紹介であれば福利厚生や入職時期など比較的柔軟に対応してくれます。
前述したように信頼度も高いからです。
私も転職の際の面接で提示した条件はほぼ対応してもらえました。
知人からの転職先紹介のデメリット
知人から転職先を紹介してもらうことにはメリットばかりではありません。
ここではデメリットについて解説していきます。
給料や休日などの条件交渉を遠慮する
中には条件交渉を遠慮してしまう人もいます。
知人の紹介だからわがままは言えないと考えるからです。
しかし、きちんと希望を伝えていなければ転職は失敗してしまいます。
看護師不足の今、条件交渉を受け入れてでも看護師が欲しいという病院は多いです。
遠慮することなくあなたの希望を伝えましょう。
面接や内定後に断りづらい
面接を受けたものの、思っていた条件と違うと感じることも。
ですが断りづらく思います。
知人からの紹介だからと考えるからです。
紹介だからといって、妥協をし二つ返事をしてしまうと、あとで後悔しかねません。
後にお話ししますが私も知人からの紹介だからと断りづらかったという経験があります。
ですが、きちんと自分に合っているのかを考えた上で返事をするべきです。
期待度されるためプレッシャーを感じる
周りはあなたを期待を持って見るのでプレッシャーを感じることもあります。
知人に迷惑はかけられないと考えるからです。
私は転職した初日に職場の人から「期待してるね!」と声を掛けられた覚えがあります。
期待されるのは嬉しいことです。
しかし、そのようなプレッシャーに弱い人であればその状況は負担になります。
一定期間は辞めにくい
何か事情があって辞めたい場合でも辞めにくく感じます。
紹介してもらったのにすぐに辞めてしまっては、知人や転職先に失礼ですよね。
ですが自分には合わないので辞めたいのに辞められないという気持ちでいると仕事も辛く感じます。
実際に私も職場が自分に合わないと感じていましたが当分は言い出せずにいました。
言い出せない間は気持ちがもやもやしていた覚えがあります。
あなたが体に変調をきたしてまで勤務を続けるのは、知人も望んでないでしょう。
できればそんなことがないように転職前に自分に合っているかを見極める努力をしてくださいね。
関連記事 看護師におすすめの転職サイトと選び方を解説【比較ランキングつき】
私が知人からの紹介で転職した体験談
それでは、ここでは実際に私が知人からの紹介で転職した時の体験談をお話しします。
私が転職を考えていた時に「うちで働かない?」と声をかけてくれたのは古くからの知人です。
それまで転職サイトで転職先を探していましたがなかなか自分に合いそうな病院がみつかりませんでした。
知人であれば内部情報もよく知っているだろうと思い、話を聞くこととなったのです。
知人の勤務先は訪問看護ステーションでした。
訪問看護は私にとって初めて経験する分野。
職場の雰囲気も良さそうで、条件交渉すればある程度受け入れてもらえる職場でした。
そのような職場であれば訪問看護について新たに勉強してみようと思ったのです。
そこに決めて働きだしたのですが、訪問看護には私が思っていたより幅広い知識と経験が必要でした。
転職前にはリハビリ専門の病院で働いていた私には知識も経験もまだまだ足りなかったのです。
徐々に訪問看護は勉強になるけれど自分には合わないなと感じ始めました。
でもせっかく紹介してもらった職場だし、辞めづらいわ…。
結局1年程して退職することとなりました。
今考えてみると職場の雰囲気が良かったということに気を取られすぎたのかなと思います。
また、知人の紹介なので断り切れなかったということも原因だと思っています。
看護師にはそれぞれ得意分野があります。
また、今まで習得してきた知識や経験の量や年数も違います。
チャレンジしてみるのも良いとは思います。
しかし本当に自分に合っている職場なのか、知人の紹介を抜きにして見極める必要があると思いました。
知人からの紹介に対する向き不向き
知人からの紹介には向いている人と不向きの人がいます。
ここではどんな人が知人からの紹介に向いているのか、不向きなのかを解説します。
向いている人
プレッシャーに打ち勝つことができる人は向いています。
そのような人は周りに期待の目で見られても自分のペースで仕事ができます。
また、自分の意志がはっきり伝えられて流されない人も向いていると言えます。
知人の紹介だからと遠慮することなく条件交渉もでき、はっきりと断れるからです。
前述したように私も職場の人から期待の目で見られてしまうという経験をしました。
しかし私の場合はそのプレッシャーを力に変えられていたのでその点では向いていたのだと思います。
不向きな人
プレッシャーに弱い人の場合は不向きです。
紹介してくれた知人に迷惑をかけないように周りの期待に応えようと無理してしまうのです。
知人の話に流されてしまう人も不向きです。
はっきりしていなければ紹介を断りづらかったり、条件交渉を遠慮してしまうからです。
私の場合は知人の紹介だからと考えて断りづらく感じ、そのため知人の話に流されてしまいました。
結果、転職後に自分に合わなかったという事実と向き合うことになったのです。
お断りしたり条件交渉が苦手なら、転職サイトを利用してすべて代行してもらうと良いですよ。
関連記事 看護師が転職先を探す方法12選|メリット・デメリットやコツを解説
友人知人からの紹介の断り方
友人知人からの紹介は断りにくいというのがデメリットにありました。
ここでは、知人から紹介されて断りたい時の断り方について取り上げます。
面接前
面接前にすでに自分の希望と違うと感じた場合には、以下のようにはっきりと断りましょう。
交流のある友人からの紹介なら、もう少しフランクで大丈夫です。
せっかく紹介してもらったのですが、違う方向の職場で考えたく、今回は見送りたいと思います。
私がお願いしたにも関わらず、勝手を申しまして申し訳ございません。
返事を曖昧にすると、相手が誤解します。
実際に私も知人から訪問看護の話をされた時は希望と違うと思っていました。
しかし違うと思いながらも曖昧な返事をしていたので、訪問看護に興味があると勘違いされていたようです。
このようにはっきりしない曖昧な返事は相手から反対の意味で捉えられることがあるのです。
ですから、違うと感じたのならはっきりと伝えてください。
希望と違うと思ったら、面接前にきちんと断る方が気まずい思いをしなくて済みますよ。
面接後
面接後に自分の希望する職場ではないと感じたなら、早急に以下のように返事をしてください。
交流のある友人からの紹介なら、もう少しフランクにアレンジしてください。
ご紹介いただいた△△医療機関様に面接をしていただきました。
私が勝手にイメージしていたお仕事とギャップがあり、お受けできる自信がありません。
つきましては、大変申し訳ありませんが、今回は辞退させていただきたく存じます。
○○様と△△医療機関様にはお手間をとらせてしまい、心からお詫び申し上げます。
断りづらいですが先延ばしにするとさらに伝えづらくなります。
知人はあなたの転職のために病院に交渉してくれ、病院側はあなたの面接のために時間を取ってくれたからです。
私は面接後にやはり辞めておけばよかったかなと考えた時もありました。
しかし、面接もしたし、やはり断れないと思って言い出せませんでした。
面接前でさえ断りづらかったのに、面接後は更に断りづらいですよね?
知人や病院側に悪いことしたなと考えるかもしれません。
でも返事を先延ばしにしないでください。
知人や病院側にお詫びと感謝を伝えるために早急に連絡しましょう。
知人の紹介で転職する際に気を付けること
知人の紹介で転職する際には気を付けることがあります。
ここでは4つの気を付けるべき点を解説します。
知人からの情報だけに頼らない
知人だけの情報に頼らず病院のホームページなどからも理念や教育方針などについて情報収集しておきます。
私の場合は、訪問看護の教育を受けたかったので職場の教育体制について知人に尋ねました。
ですが、教育体制について知人からは確かな情報を得られず、ホームページを見ると教育体制の情報が載っていました。
このように知人からの情報だけでは確証が得られない事柄もあるのです。
ですから、ホームページからの情報収集もお忘れなく。
人間関係の情報は知人の主観
人間関係についての知人からの情報を鵜呑みにしないよう注意します。
同じ看護師であっても他人に対する感じ方は人それぞれです。
知人には良いと見えていてもあなたから見るとそうは思えないということもあるのです。
例えば知人からある看護師の気に入らない点を聞くとします。
でもあなたから見ればその点は気にならないことだったりします。
私も転職後にそのようなことを経験しました。
なお、人間関係に似ていますが、「職場の人とプライベートでの付き合いはあるか」については、知人の主観とは関係無いので、気になるなら尋ねておくと良いでしょう。
友達紹介キャンペーンでも知人に感謝する
医療機関によっては、知人看護師を職場に紹介して知人が入職したら、「○万円支給します」という友達紹介キャンペーンを行っていることがあります。
あなたが友達キャンペーンで紹介されて入職し、あとで「知人が紹介料をもらっていた」のを知ったら、ちょっと複雑な心境になるかもしれませんね。
え?○○さんって、お金のために私を職場に紹介したのかしら…。
友達キャンペーン関係なく善意で紹介をしてくれる知人がほとんどでしょうから、深読みすることなく感謝するようにしましょう。
無事に転職できたなら、それは知人の力があってこそなのだから。
面接時の志望動機
知人からの紹介ということだけを面接時の志望動機にするのは避けましょう。
紹介されたから面接を受けに来ただけで病院に興味があったわけではないのだと思われてしまうから。
きちんと他の志望動機も考えておいてください。
やる気を見せることが大切です。
採用・不採用時の連絡
採用されても不採用であっても、病院側へは面接に時間を取ってもらったことへの感謝を伝えます。
また、紹介してくれた知人にも感謝を伝えます。
病院側も紹介してくれた知人もあなたのために、貴重な時間を割いてくれたからです。
せっかく相手のために時間を取ったのに感謝のひとつもなければ嫌な気分になりませんか?
私は採用の連絡があった日に加えて、勤務初日にもお礼を伝えにいきました。
紹介してくれた知人にも病院側にも感謝を伝えることを忘れないようにしましょう。
なお、ここでお話した以下の内容について、転職サイトではすべて無料で教えてくれます。
- 希望の職場探し
- 職場の詳しい仕事内容
- 職場の人間関係
- 履歴書の志望動機の書き方
- 面接や内定後の日程調整
看護師が知人の紹介で転職する方法のまとめ
看護師が知人からの紹介で転職先を探すと、安心感はありますがデメリットもあります。
最後にこの記事をまとめます。
まず、紹介者に確認しておくべきポイントは以下の通り。
- 給料や福利厚生
- 残業の有無と有給休暇の取得率
- 職場の人間関係
- 配属予定の部署
- 面接や内定後の辞退について
知人から紹介を受けるメリット・デメリットはこちら。
メリット | デメリット |
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内部情報を把握しやすい 信頼してもらいやすいので内定も得やすい 福利厚生や入職時期などの相談に応じてくれる | 条件交渉を遠慮してしまう 面接や内定後に辞退しにくい 過度な期待にプレッシャーを感じる 早期に退職しにくい |
知人からの紹介に対する向き不向きは以下の通り。
- 期待されるプレッシャーに強く自分の意志をはっきり伝えられる人は向いている
- 周囲の期待に負担を感じ、相手の話に流されやすい人は向いていない
知人の紹介で転職する際の注意点は以下の通り。
- 知人の情報だけに頼らず、自らホームページなどで情報収集する
- 人間関係の情報を鵜吞みにしない
- 友達紹介キャンペーンでも知人に感謝する
- 志望動機は紹介だからと油断せずしっかり考える
- 採用の合否が出たら医療機関と知人に感謝の意を伝える
知人からの紹介を断る時は、できるだけ早く誠意をもって謝罪し、辞退しましょう。
知人との関係を良好に保つためにも細心の注意を払って紹介を受けることが大事です。
なお、知人からの紹介に負担を感じる場合は、転職サイトを利用してプロにアドバイスを受けてください。
気疲れせずに転職活動を進めることができますよ。